こんにちは、スタディーメンターの曽川です。
前回、前々回と、理科の現象での「比例」・「反比例」をご説明し、例題解説にて算数の知識の応用を確認してきました。
今回は、ふりこでの「比例でも反比例でもない2量の関係」について典型問題も交えてお伝えしていきます。また、お子様がふりこでつまづきやすいポイントも整理いたします。
これまでに、
【中学受験理科を家庭で教える】理科嫌いを克服① ばねの解き方の教え方!
【中学受験理科を家庭で教える】理科嫌いを克服② 熱での面積図・てんびん図の使い方
で述べてきたように、理科嫌いな子どもに、教える方法は算数をどのように利用しているのかを十分に教えることができるか、という所です。
では、今回も算数を利用して、理科の教え方をアドバイスします。
目次
1.ふりこの周期は3つのステップで確実に理解する!
ふりこは、「ふりこの長さ」と「ふりこの周期」に規則性があることが知られています。この規則を教えるときには、3つのステップを踏むとお子様は無理なく学習することができます。
【Step 1】用語の定義をチェックする!
ご家庭でふりこを学習されるときには、まず、「ふりこの長さ」、「ふりこの周期」について言葉の意味を整理していきましょう。
図のように、ふりこの長さとは、支点からおもりの中心までの距離のことです。また、ふりこの周期とは、ふりこが1往復するまでの時間のことです。
【Step 2】ふりこの周期はふりこの長さだけで決まることをチェックする!
次に、「ふりこの周期」は「ふりこの長さ」によってのみ決まり、「おもりの重さ」や「ふれはば」などには無関係ということを確認します。
ふりこの周期は一見いろいろな量によって決まるのではないかと考えられます。
例えば、「おもりの重さ」や「ひもの太さ」、「ふれはば」など様々な事項と関係があるかもと予想できます。
しかし、実験から得られた事実として、「ふりこの周期」は「ふりこの長さ」だけで決まり、他の事項は無関係なのです。
この事実はお子様にとってスムーズに理解するのが難しい内容です。
特に、おもりの重さはふりこの周期に関係ないということは、直感に反するもので、混乱しがちです。
お子様が理解しずらいときには、繰り返し丁寧に説明することが重要となります。
【Step 3】ふりこの周期とふりこの長さの関係をチェックする!
最後に、ふりこの長さを変化させたときに、ふりこの周期がどのように変わるのかを確認します。
ふりこの長さを伸すと、ふりこの周期は長くなるといったざっくりした規則性だけでは不十分です。
ふりこは、ふりこの長さを4倍、9倍すると、ふりこの周期は2倍、3倍になるという規則があります。
この2量の関係をご家庭で教えられるときには、これが「比例」でも「反比例」でもないことをしっかりチェックする必要があります。
特に算数が苦手なお子様の場合には、「比例」、「反比例」の定義から復習すると良いでしょう。
2.ふりこの典型問題で正しい理解かチェックし定着させる!
ふりこについて基礎事項がインプットできたら、頻出問題の演習によるアウトプットで理解度を確認し定着させていくと良いでしょう。
2つの頻出問題をご紹介致しますので、お子様との演習にご活用下さい。
ふりこの長さを図で復習する!
【問題】
同じ重さで大きさの異なる金属球とプラスチック球を、図のように長さが等しい2つの糸につなぎ同じ角度で静かに放す。2つのおもりが1往復する時間は等しいか、また異なるか。異なる場合には1往復する時間が長い方はどちらのおもりか答えなさい。
【解説】
ふりこの長さは、ひもの長さでないことに注意する必要があります。
ふりこの長さは、支点からおもりの中心までの距離です。
図でふりこの長さを確認すると、ふりこの長さは金属球の方がが短く、プラスチック球の方が長い事が分かります。
よって、ふりこの周期は、金属球の方が短く、プラスチック球の方が長いことになります。
従って、答えは、1往復の時間が長いのはプラスチック球となります。
ふりこの長さと周期の関係を表で確認しよう!
【問題】
ふりこの長さとふりこの周期の関係を調べ、以下の表にまとめた。空らんの(ア), (イ)に適する数値を答えなさい。
【解説】
ふりこの長さを4倍、9倍にすると、ふりこの周期が2倍、3倍になるという関係をどう使うかが重要です。
ポイントは、「基準」を決めることです。
ふりこの長さが25cmを基準にすると、100cmは4倍の長さになり、225cmは9倍の長さになります。
よって、ふりこの周期は、100cmのとき2倍の2.0秒、225cmのとき3倍の3.0秒と分かります。
従って、(イ)は3.0秒です。
また、ふりこの周期1.4秒を基準にすると、2.8秒は2倍の時間になります。
よって、ふりこの長さは、周期が1.4秒のときの4倍の200cmになります。
従って、(ア)は200cmです。
3.ふりこの例から比例・反比例ではない規則性に慣れておく
今回ご紹介したふりこのように、比例でも反比例でもない2量の関係が理科では出題されます。そして、特に難関校以上ではグラフに応用されることもあるのです。まずはふりこの例をしっかり理解し基礎を固めましょう。一方で、6年生では夏以降に本格化する過去問対策にて実践的な演習を通じて理解の幅を広げていくと良いと思います。
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研究者だった経験を活かし、小学生に理科および算数、中高校生には物理化学数学を指導しています。専門的な内容も小学生にでも分かるように噛み砕くことを意識し、医学部指導も行っております。分かりやすく情報を伝えていきます。