中学生の生徒指導をしている際に、地理は覚えればいいだけだから後回しにして、英語や数学の勉強ばかりをして、結果的に入試の時に社会が足を引っ張ってしまっている生徒を見かけます。確かに数学はできるようになるまでに時間が掛かるのは分かりますが、入試は五科目勝負です。さらに内申点のことを考えると、学校の中間テストや期末テストなどの定期考査では社会の点数を上げておくことは重要です。都道府県によって異なりますが、中学1年生、中学2年生の成績が反映される場合は、地理の勉強をやっておいた方がいいでしょう。
また、地理は覚えるものが多く大変だと思われがちですが、基本的なことさえ覚えてしまえば、それらの知識を結びつけることで、理解することができます。
今回は、中学社会の中でも「地理」の勉強をアドバイスします。
地理を勉強する目的
地理では、読んで字のごとく、「地球の理(ことわり)」、つまり、世界や日本のことを学びます。近年では、グローバル化と呼ばれ、資本力や労働力の国境を超えた移動が増しました。また、同様に商品やサービスなどの移動も容易になり、世界が近くなっていると言えます。世界に向けて商売をするためにも、世界のことを学び、また、宗教や四季など日本では当たり前のことを知ることが大事です。
中学社会の地理分野の勉強法
人口ランキングから読み取る
地理では、国の人口ランキングなどを覚えることを求められます。その際に、他のランキングと結びつけて覚えると効率が良いです。例えば、人口の多い国のランキング(2019年)は、1位中華人民共和国、2位インド、3位アメリカ合衆国、4位インドネシアです。
一方、米の生産量(2017年)は1位中国、2位インド、3位インドネシアです。小麦の生産量(2017年)は、1位中華人民共和国、2位インド、3位ロシア、4位アメリカ合衆国です。小麦や米のような主食は、人口の多さと相関関係があるように見えます。このように、ランキングなども他の内容と結びつけて覚えると効率的です。
イメージも大事です。例えば、コーヒー豆の生産量(2017年)は1位ブラジル、2位ベトナム、3位コロンビアですが、日常生活の中で喫茶店やコーヒーショップなどに行くとコーヒー豆が売っています。このような際に、目にする国がランキング上位にいます。このように日常生活の中でも、地理の勉強はできます。
気候から読み取る
気候を覚えておくことも重要です。
気候というのは、一年スパンの十分に長い時間について平均した大気の状態のことを指します。 例えば、降水量の平均や気温の平均などを言います。
日本のように春夏秋冬がある所もあれば、一年中夏のような気候であるところもあります。
気候には、「熱帯」「温帯」「寒帯」「乾燥帯」「冷帯(亜寒帯)」があります。世界地図を見ながら、これらの気候がどの地域に属しているのか分かるようにしましょう。コツとしては、「乾燥帯」は、雨がほとんど降らないという特徴があり、主にアラビア半島やアフリカ大陸北部やオーストラリアを覚えておきましょう。残りは、赤道を基準に、近い順で「熱帯」「温帯」「冷帯(亜寒帯)」「寒帯」と覚えましょう。
※気候の特徴
「冷帯」:一年間の気温差がかなり大きい
「熱帯」:気温が一年間ほぼ一定
「寒帯」:一年間の大半が雪と氷に覆われており、一年の大半が氷点下
「乾燥帯」:雨がほとんど降らない
「温帯」:日本をイメージ。四季がある。
中学社会地理分野は日本の詳細を学ぶ
中学社会の地理分野は、特に日本について詳細に学びます。
日本は、北海道は冷帯(亜寒帯)、その他は、温帯に属しますが、その中でも、地域により気候の差があります。それらの違いから、産業にも大きな影響があります。
例えば、九州地方では、冬でも比較的温暖であることを活かして、きゅうりなどの夏野菜の促成栽培がさかんです。促成栽培には、ビニールハウスの暖房費などがかかってしまいますが、それを抑えられるほか、他の地域からの出荷量が減る時期に出荷することで、高値で売ることができます。
瀬戸内では、日照時間が長く、降水量が少ない気候であるので、みかんなどのかんきつ類が栽培されています。
北陸では、冬の降雪量が多いので、農作業を行うのが難しかったので、副業で補っていました。眼鏡フレームの生産量が最も多いのは福井県ですが、これも農家の副業から始まっています。
このように気候や人口ランキング、海に面している、内陸部などの地形などは生産量や輸出量、輸入量、出荷量などに影響するので、白地図を使って都道府県名や国名を覚えるだけでなく、気候などの情報やランキングも白地図に書き込みこのような前提知識は覚えましょう。また、歴史的背景なども関連しますので、結びつけて覚えるといいです。
入試では、世界についてもよく出題されます。日本について勉強する要領で世界のことについても勉強しましょう。
マンガで全体を知る
学研プラスの「マンガでわかる中学社会」はおすすめです。マンガなので読みやすく、内容としても、気候などと関連付けてまとめていますので、今まで用語を丸暗記しているだけの勉強だったのであれば、ここから入るのもありです。
例えると、小説を読むのが苦手な人でも、その作品のドラマを見た後で、小説を読むとどんどん小説の文章を読むことができるという体験をしたことがあるのではないでしょうか。これと同じ理屈です。
映像授業で全体を知る
教科書や参考書を読んで勉強する前に、スタディサプリ、Try IT、アオイゼミのような動画コンテンツを使って予習した上で、参考書を使うことをおすすめします。
動画コンテンツだけではなく授業全般に言えることですが、各単元の概要を理解した上で、参考書を使うとわかりやすくなります。例えるなら、アニメを観た上で、マンガを読むとすぐに読める感覚です。あるいは、ドラマを観てから小説を読むと読みやすくなるのと同じです。マンガを読む理由と同じですね。
教科書を何回も読む
地理を勉強する上で気候などの前提知識を覚えた上で関連付けることが重要であることは述べてきました。スタディメンターに相談されるご家庭の勉強法を聞き取ると、特産品などを暗記しているだけだという話はよくあります。例えば、東北地方が伝統産業がさかんであるということだけを覚えています。大事なことは、農作業が難しい冬の間の家内労働として、地元の森林・鉱産資源を利用した工芸品が作られていったからということを知っておくことです。このように、地理を勉強する上では、教科書を読んで、この部分を読むことです。
ただ、教科書は文字が多く、中々いきなり読もうとすると頭に入ってきません。頭に入りやすくするために、学校の授業があります。授業では全てを細かく解説するわけではありません。大事なポイントや背景などを解説してくれます。だからこそ、学校の授業では、先生が口頭で説明する内容をメモしておくなど、「授業ノート」を上手に作ることが大事です。
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また、マンガなどで全体像を知った上で、読むことで教科書の内容が頭に入りやすくなります。流れを把握した上で、何度も教科書を読みましょう。
地図帳を何回も見る
気候や標高、資源分布等の多角的なデータを、目で見て身体に染み付けましょう。気候などの前提知識を入れることが重要であることは言うまでもなく、標高なども前提知識になります。例えば、中部地方において、中央高地には飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈の日本アルプスで有名ですが、八ヶ岳のふもとなどでは、レタスなどの高原野菜の栽培が行われています。レタスは、標高が高く、冷えている高冷地に適していることが理由です。
白地図に書き込む
地理の勉強している中で、白地図に書き込んでまとめるという勉強法は効果的です。
どんなことを書き込むかという実際にスタディメンターで指導している例を紹介します。
例えば、関東地方など一つのテーマごとに拡大した白地図に山脈などの情報を書き込む。この時に色鉛筆などできれいにまとめるとより良いです。他には、気候の特徴(+雨温図など)、農産物(+品名とランキングとその理由)、さかんな工業(+海側で輸入しやすいなどの理由)を書き込むと様々な内容を関連付けてまとめることができます。
資料集を何回も見る
地理では、教科書や地図帳や雨温図など文字やグラフなどを見て勉強することが多いですが、資料集だとこれらが写真でまとめているので、知識の整理に有効です。
資料は、雑誌感覚で、リビングなどで読むことをおすすめします。ご飯前や、ご飯後のゆっくりしている時に見るといいと思います。
スタディメンターでは、無料相談も受付していますので、些細なことでもご相談ください。
ワークなどの問題集で演習
ある程度教科書も読み、気候などと関連付けて覚えることができたと思ったら、問題を解いてみましょう。解いている中で、実はまだ覚えられていなかった所がわかってくるので、そういう所は、資料集や教科書、白地図などに付箋を貼り、再度見直すようにしましょう。決して、丸つけして、答えを写すだけという勉強にならないように気をつけましょう。
コツコツと正しく勉強する
地理分野については、コツコツと勉強することが最も大事な勉強法です。
試験までの日程や現状の成績などから逆算し計画表を作りましょう。その上で、コツコツと勉強することです。
スタディメンターでは、メンターと呼ばれる担当がつき、勉強法や暗記の方法を指導してくれます。また、苦手分野は授業をしてくれます。
勉強法などにお困りでしたら、相談してください。

中学時はほとんど勉強する事無く、高校に進学したが、勉強法の書いてある本を読みあさり短期間での学力UPに成功。その経験を活かし、学生時代から塾で講師業に携わる。その後、大手予備校の校長も兼任しながら、多くの受験生を合格に導いてきた。現在は、講師業(医学部専門予備校など)に加え、Webサイトでより多くの受験生に学力UPのノウハウを伝えている。