こんにちは。スタディメンターの山﨑です。
今回は、共通テストの数学をどのように勉強していくかについて、アドバイスをします。
対策をどのようにしたらいいのか不安な方も多いと思います。
センター試験同様、しっかりと対策を行えば、高得点を取ることができるテストです。
2021年より実施された入試です。
試行調査およびセンター試験、第1回の共通テストを比較しながら、まとめていきます。
1.センター試験と共通テストの違い
ここ数年いろいろ議論がありましたが、結果として変更があった点は、
①試験時間②出題形式です。
試験時間については以下のように変更されました。
| センター試験 | 共通テスト |
数学ⅠA | 60分 | 70分 |
数学ⅡB | 60分 | 60分 |
また、センター試験は平均点が60点前後を狙って出題されていましたが、平均点が50点前後を狙って作られているようです。ただ、重要なことは、今までのセンター試験の平均点が60点前後にならなかったように、共通テストになってもこの部分は定かではないので、特に意識する必要はありません。難しくなるということは知っていてもいいでしょう。
最も気になる出題形式ですが、僕の見る限り、
問題文の増加
正誤判定
選択肢問題
が大きく変わった点と見ています。
これについて、以下にまとめていきます。
問題文の増加
「ICT形式」や「会話文」、「有名な定理の証明」など、単純に問題の誘導に乗れれば解けた従来のセンター試験のような形式より、問題文が増えており、かつ、読み取る力が求められます。
教科書内容の知識で解けますが、教科書に無いような定理の証明なども試行調査では出題されています。
流れを正しく分かっていれば問題ないですが、読解力に自信のない人は対策が必要です。
2020年度センター試験と2021年共通テストの問題数の比較
|
2020 |
2021 |
数学ⅠA |
16ページ |
23~24ページ |
数学ⅡB |
10~12ページ |
14~16ページ |
正誤判定
いわゆる「太郎・花子問題」です。生徒目線で、よくある誤答に対して、正していく形式です。公式の丸暗記や解法の丸暗記に依存した勉強で、あまり良く理解せずに来た人にはかなり厳しいと思います。そもそもどこが間違えているのかも分からない可能性もあります。
文章が無意味に長いから読まなくてもいいと指導されているケースもあるそうですが、読みましょう。
問題を解いていて、「今、何をしていて、何が分かっているのか」分からない状況で誘導に乗れるはずがありません。
強いて言えば、太郎君は誤った解答をつくる傾向があるので、この部分が次の問題、つまり、誘導になる可能性は低いと言えます。
読みとばすならば、この部分です。
選択肢問題
個人的にはこの選択肢問題が最も厄介だと思います。国語などでも見られる「適した選択肢を選べ。」、「誤った選択肢を選べ。」のような問題です。
当然ながら、全ての選択肢を丁寧に考えているとものすごく時間が掛かってしまいます。明らかに正しい選択肢を探すか、明らかに誤っている選択肢を探すかしていくと良いでしょう。
以上、出題形式についてまとめましたが、今まで同様の形式、つまり、センター試験と同じような形式も残ります。
センター試験の過去問も合わせて行っておくことが望ましいです。
2.2021年度共通テスト数学講評
数学ⅠA
第1問[1] 数と式
2次方程式の問題。(2)において、次数下げを上手にできている人は素早く計算できた。
今回であれば、
\(2x^2+5x-5=0の解を、αとするとき、\)
\(\displaystyle \frac{5}{α}を求める問題。\)
\(2x^2+5x-5=0の解が、x=αなので、2α^2+5α-5=0が成り立ち、\)
\(α≠0より、\displaystyle \frac{5}{α}=2α∔5とでき、そこから代入をする。\)
このような計算の工夫を普段からやっておくと、いいね。
第1問[2] 図形と計量
誘導に乗りながらしっかりと解いていきたい。
鋭角三角形の成立条件や鈍角三角形の成立を理解し、活用できれば得点できた。
正弦定理や余弦定理をただ覚えるだけでなく、利用できるようにしておきたい。
第2問[1]2次関数
陸上競技の短距離走の問題。ストライドやピッチの定義を読み、誘導に合わせて解いていく。
文章が長く、定義が何であったか忘れてしまうと、あちこち行って大変。
数学の知識としては、特に差がつくものはなかった。
第2問[2]データの分析
数値計算のない問題であった。
表やグラフを読み取り、観察できたかどうかで決まる。非常に対策はしにくい。
今後に向けては、やはり教科書にある定義をしっかりと理解しておきたい。
第3問 場合の数・確率
太郎・花子の条件付き確率の問題。分数の大小比較の計算が面倒であった。
条件付き確率は、「事後確率」とも言われているので、その辺りを意識して学習するといい。
第4問 整数の性質
動点の移動の問題。同じような設定の問題は、他の単元などでも見受けられる。
不定方程式の解き方も確認しておきたい。
少し工夫して計算しないと、時間が掛かる。
第5問 図形の性質
相似な三角形をうまく利用する問題。
数学ⅠAの共通テストの対策は、難しい。その中でも、図形の性質はパターンが決まっているので、慣れれば点数は取れるようになる。
数学ⅡB
第1問[1] 三角関数
三角関数のcos合成の問題であった。
sin合成を覚えているだけの人には辛い問題であった。
やはり、普段から教科書で学んだ公式は、きちんと理解し、噛み砕いておくと、知らない問題が出てきても対応できる。
公式を覚えることは重要だが、成り立ちをしっかりと理解しておこう。
第1問[2] 指数対数
双曲線関数に関する問題であったが、当然知らなくても解ける。
少し時間が掛かるので、一度飛ばしてから解いても良いと思う問題。
丁寧に計算すれば、得点はできる。
第2問 微分積分
類題演習をしていたかどうかで解く時間に差がついた問題であった。
今回、問題の中で導出した
\( a,b,cを0でない実数とする。\)
\( 曲線 y=ax^2+bx+c上の点(0,c)における接線の方程式が、\)
\( y=bx+c になる。\)
このことを既に知っていた人は、状況がすぐに分かっただろうが、そうでない人は、何を言っているのか理解するのに時間が掛かったかもしれない。
また、面積についても、いわゆる「3分の1公式」を知っていると楽であった。
微分積分の問題にもかかわらず、一度も微分や積分の計算をすることなく完答することもできた。
第3問 確率分布と統計的推測
母平均・母比率および95%の信頼区間の問題が出題された。
\( 確率変数xの平均がm,標本平均 \overline{ x }標準偏差σ,標本の大きさnであるとき、 \)
\( 信頼度95%の信頼区間は, \)
$$ \overline{x}-1.96×\frac{ σ }{\sqrt{ n } } \le m \le \overline{x}+1.96×\frac{ σ }{ \sqrt{ n } } $$
\( この式意味が、この範囲をみたす確率は0.95である。\)
だということを理解していれば高得点だったのではないかと思う。
第4問 数列
一見すると複雑な漸化式のようにも見えるが、とても丁寧に誘導がついている。
普段から漸化式の問題を解き方のみを覚えていて、理解出来ていなかった人には辛い問題だったかもしれない。
等差数列や等比数列、階差数列を利用した式に、どのように式変形するのか、成り立ちから知っておこう。
第5問 ベクトル
正五角形および正十二面体の問題。
正五角形の対角線の長さを求める問題は、頻出であるが、今回は求める必要はなかった。
丁寧に誘導がついており、何をしているのか整理しながら進めていくことが重要。
正四面体、正六面体、正八面体以外の正多面体の問題がベクトルで出題されるのは珍しいが、この問題は、状況さえ確認しながら進めることができれば問題なく解ける。
誘導つきの問題に普段から取り組んでおくことが望ましい。
3.共通テストおよびマーク模試の心得
共通テストのために各予備校のマーク模試を受験する方がほとんどです。模試受験は、共通テスト本番に向けての途中経過、通過点であることから、目標点を決めて受験すると思います。
数学に関して、共通テスト模試の目標を決める際に、簡単なアドバイスをします。
① 4~5割までは対策不要
共通テストの出題形式がいくら普段の問題集や参考書と異なるといえど、基本は数学です。各分野の理解ができていれば、5割までは必ず取れます。
もし、取れていない人は、各単元の正答率を分析してください。極端にできていない単元があるはずです。その単元の学習を優先的に行ってください。
②各予備校の模試のコンセプトを知る
例えば、東進ハイスクールの「共通テスト本番レベル模試」
この模試は、他予備校の模試とは異なり、どの学年でも同じ模試かつ、本番レベルの模試を受験します。つまり、毎回の模試の難易度が同じになるようにつくられております。そのため、次回の「共通テスト本番レベル模試」までに、「点数」を上げることを目標にします。
難易度が同じであることから、実力を伸ばすための模試として活用しましょう。
※東進ハイスクールの帳票は、かなり細かいところまで分析してくれており、どうすれば実力が上がるのか年々分かりやすくなっております。
河合塾の全統マーク模試や駿台模試は、徐々にレベルを本番レベルに近づけているので、毎度難易度が異なるので、点数を目標にしません。
全統マーク模試や駿台模試は、合格可能性の判定を見ます。つまり、「偏差値」です。
受験者数が多いこれら2つの予備校の模試は、現状を把握するために使いましょう。
※偏差値は、受験者が変われば、異なる結果になります。多くの進学校は、高校3年生から駿台模試に参加します。浪人生も同様です。したがって、高1、高2の偏差値が高3になると急降下するので、心の準備が必要です。また、同様に、情報サイト等に掲載している大学の偏差値は、受験者の時の偏差値であるところが多いので注意が必要です。
4.共通テストのための参考書
白チャート
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共通テストのためというわけではありませんが、数学の基本事項を定着させるために必要な教材です。
解法としては、この一冊が確実に頭に入っていれば共通テストでは十分です。
白チャートの使い方としては、一度習った所であれば、まず解いてみることです。
基本例題の中で、一問でも解けない問題、あるいは解答を見ないと分からない問題があれば、きちんと解説を読み、怪しい所は先生に質問に行きましょう。
発展例題に関しては、共通テストでも問われるであろう有名問題が多くあります。必ず解けるように演習しておきましょう。
黄チャート
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黄チャートのレベルまで知っていないと解けないということはありませんが、知っている人方が有利になることもあります。ただ、たくさんの解法を知っていることでかえって迷ってしまう可能性もあります。国立の二次試験や、私立の入試を受ける予定で、黄チャートレベルの学習が必要である人は、是非チャレンジしてください。
黄チャートの基本例題は、白チャートの基本例題+発展例題とほぼ同じです。白チャートを持たず、黄チャートを持っている方は、基本例題をしっかり解けるようにしておきましょう。これも同様に、解答を見ないと解けない問題などは先生に質問に行きましょう。
白チャートあるいは黄チャートの解法を習得できていれば、問題はないのですが、だからといって、共通テストの問題が解けるようになるとは限りません。
共通テストのための学習の前に、基本的な数学の修得!!
詳細は、こちら👇
独学で大学受験数学をスタートできる参考書・問題集7選!!
解法をただ覚えていても、利用できなければ意味がありません。
そのためには、問題文の意図を読み取る必要があります。
そのための練習として以下の教材をおすすめします。
大学入学共通テスト準備問題集
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共通テストは受験するが、まだまだ共通テストの勉強するには自信がない。基礎から少しずつ演習したい人はここからスタート。基本的には、各単元の基本事項の確認がメインの教材ですが、少しずつ共通テストの形式を意識した問題が混じっています。
これから来年以降受験予定の非受験生にもおすすめの1冊です。
大学入学共通テスト実践対策問題集
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共通テストの問題集の中でも、解説が丁寧かつ見やすいです。
少しずつレベルを上げていきたい人におすすめです。白チャートや黄チャートは大丈夫であれば問題ありません。
この問題集を通して、チャートで学んだ知識を活かす練習をし、丁寧な解説を読み理解していきましょう。
[きめる!共通テスト]数学ⅠA&ⅡB
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個人的には共通テストに向けた問題集の中では最も好きな教材です。
各単元ごとに7問前後と問題数も豊富です。またレイアウトも非常に良く、表面に問題、ページをめくると解説というようにまるで単語カードのように使い勝手が良く、独学で用いるには良い教材です。
問題の選び方も非常に良く、程よいレベルの問題がラインナップされており、良いです。
問題の質が抜群に良く、共通テストの対策のためのまさに1冊です。
5.勉強法で差がつく
共通テストは、正しく勉強しているかどうかで差がつくように思えます。
普段の勉強から、公式の丸暗記や解法の丸暗記などに頼らずにきちんと考える習慣をつけることが重要です。
スタディメンターでは、正しく学習ができているかどうかを「ノートチェック」を行い、確認しております。
我々が指定した教材の問題を解いてもらい、理解にズレがないかを確認します。
共通テストでは、正しく勉強できている人は高得点、できていない人はとことん低い点数になると思われます。
詳細は以下のページから確認してください。
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中学時はほとんど勉強する事無く、高校に進学したが、勉強法の書いてある本を読みあさり短期間での学力UPに成功。その経験を活かし、学生時代から塾で講師業に携わる。その後、大手予備校の校長も兼任しながら、多くの受験生を合格に導いてきた。現在は、講師業(医学部専門予備校など)に加え、Webサイトでより多くの受験生に学力UPのノウハウを伝えている。