前回の記事では、算数の入試問題で西暦の数字を用いる問題についてお話しました。
そこで今回は、2020年度の社会の時事問題としても出題されるであろう、消費増税をテーマにした算数の問題について予想されるパターンを挙げていきたいと思います。
千葉、東京などの中学受験が本格的にスタートする前に子どもと一緒にチェックしておいてください。
軽減税率を利用したつるかめ算での出題
2014年に消費税が5%から8%になったときと違い、今回の増税では軽減税率というものが設けられています。詳しい説明は省きますが、食品を購入する際に、お店の中で食べると10%・持ち帰りだと8%の税率がかかります。
そのため、同じ商品でも買い方によって値段が変わってくるので、つるかめ算との相性がいい時事ネタと言えるでしょう。
中堅校以上のレベルでは出題されることの多い、売買損益とつるかめ算の複合問題ということになります。
塾のメインテキストや、市販教材にも売買損益でつるかめ算を利用する問題は必ず載っています。
今年は例年以上に割合・売買損益の基本などから復習しておく必要がありそうですね。
消去算での出題
・昨年度の中学一年生の人数は300人でした。今年度は昨年度より男子が10%増え、女子が5%減ったため、中学一年生の人数は309人になりました。
昨年度の男子の人数を答えなさい。
(答え:160人)
このような問題は算数を勉強している子どもなら誰もが目にしたことのある問題です。
基本問題ではありますが、単純に人数を値段に置き換えて8%と10%を使う問題が中堅校以下のレベルでは出題される可能性があります。
一行問題集や過去問の一行問題でも出題されていることがあると思いますので、子どもが間違えていた場合はしっかりと解法を確認しておきましょう。
テキストによっては割合とつるかめ算の複合問題として載せているものもあるので注意してください。
差集め算(取り違え算)での出題
・Aさんは一個80円のりんごと一個50円のみかんを合わせて15個買う予定でしたが、個数を逆にして買ってしまったため、合計代金が150円高くなってしまいました。
Aさんはりんごを何個買う予定でしたか。
(答え:5個)
という有名な問題です。
「お店の中で食べる個数と、持ち帰りの個数を逆にして注文してしまったので」のように、軽減税率を絡めて出題されるケースが考えられます。
こちらも基本問題ではあるものの、算数が苦手な子どもにとって差集め算や過不足算は弱点の単元になりやすいので、基本パターンから復習しておくとよいでしょう。
数の性質の問題での出題
消費税は、本体価格(税抜き価格)に税率をかけたあと、小数点以下を切り捨てして計算されています。
2014年の消費増税の時は、それを算数に絡めて数の性質の問題が実際に出題されています。
上位校で出題されてもおかしくない難易度の高いパターンなので下の例題4でチェックしておきましょう。
また、中堅校以下の学校では切り捨て・切り上げ・四捨五入が一行問題として出題されることもあります。
四捨五入の問題は、塾などでは五年生の始めに扱って以来ノータッチだという子どももいるので必ず確認しておいてください。
消費税に関連した算数時事問題集
例題1
あるお店では、1000円で仕入れたケーキを二種類の定価で販売しています。
店内で食べる場合は10%の利益を見込んで定価をつけ、持ち帰って食べる場合は8%の利益を見込んで定価をつけています。
これについて以下の問いに答えなさい。
(1)店内で食べる場合と持ち帰える場合のそれぞれの定価は何円ですか。
(答え:店内1100円 持ち帰り1080円)
(2)ある日この店では、店内工事のため持ち帰りのみでケーキを売りました。
1日の利益の合計は226800円でした。
この日ケーキは何個売れましたか。
(答え:210個)
(3)(2)の翌日はケーキが合計で300個売れ、利益の合計は26000円でした。
この日ケーキを持ち帰りで買った人は何人でしたか。
(答え:200人)
例題2
商品Aと商品Bの仕入れ値の合計は300円です。
商品Aには8%、商品Bには10%の利益を見込んで定価をつけると、定価の合計は326円でした。
商品Aと商品Bそれぞれの仕入れ値はいくらですか。
(答え:商品A200円 商品 B100円)
例題3
あるお店では、定価100円のお菓子を店内で食べると10%、持ち帰ると8%の消費税がかかります。
Aくんはこのお店で商品を合わせて20個買い、いくつかは店内で食べる予定でしたが、注文する時に店内で食べる数と持ち帰る数を逆にしてしまったため、予定よりも合計代金が28円多くなりました。
Aくんは店内で何個お菓子を食べる予定でしたか。
(答え:3個)
例題4
2019年10月から、軽減税率制度が実施されました。食品にかかる消費税は店内で食べる場合は本体価格の10%、持ち帰って食べる場合は本体価格の8%が課されます。
ただし、一円未満の値は切り捨てて計算されています。
例えば本体価格70円の商品を買うとき、店内で食べる場合は7円の消費税がかかり77円払い、持ち帰る場合は5円の消費税がかかって75円払うことになります。
(1)本体価格358円の商品を持ち帰って食べる場合、いくら払えばよいですか。
(答え:386円)
(2)消費税が2円になる本体価格は何円以上何円以下ですか。店内で食べる場合と持ち帰る場合それぞれ求めなさい。
ただし本体価格は整数の値とする。
(答え:店内 20円以上29円以下
持ち帰り 25円以上37円以下)
(3)店内で食べる場合と持ち帰る場合で払う金額が変わらない本体価格のうち、最も高い値段はいくらですか。
(答え:39円)
時事問題と合わせて算数の基礎を問題集で復習しよう!
今回例に挙げた問題は、割合・売買・つるかめ算・差集め算・数の性質です。
算数の入試では、一行問題でも4~5点の配点の学校がほとんどで、一点の差で不合格になってしまう子どもも毎年見てきました。
もし例題で解けないものがあった場合は、普段使っている問題集で復習をしておきましょう。
一点でも多く得点して、志望校に合格することを祈っています。
首都圏を中心とし、小中高校生に個別指導をしています。担当科目は、算数と数学。小中高一貫で指導しているため、小学生の頃に勉強の仕方を身につけさせ、その延長で大学受験まで指導できることは非常にやりやすいと感じております。これらの経験を伝えます。