算数において、図形問題が最も子ども「直感力」を分析することに適しています。時として、大人もうなる解法を瞬時に思いつき導き出すなど、感覚が優れている子もいます。ただ、それは一部であって、多くの子どもが図形問題に苦労している現状があります。本記事では、感覚がないと図形問題は全く解けないのかどうか、この部分を掘り下げていきたいと思います。
図形問題が苦手な人の特徴
どの問題も全て違って見える
図形問題を解いていて、全く同じ図形問題が出題されることはありません。見た目は同じような図形でも線が一本余計に入っていたり、抜けていたり、視点が違ったり、様々です。
しかし、大事なことは、「見た目は同じような図形」だということです。図形問題を全て違った図形問題として、見てしまうと、一気に迷路に入ってしまいます。
図形が苦手な人は、まずこの迷路に入ってしまい、そこから抜け出せなくなっている事が多いです。
「見た目は同じ」図形問題が出題される
線がいっぱい引いてあったら難しい
問題の難易度の判断でよくミスしていることが、「線がいっぱい引いてあったら難しい」という幻想です。実際に問題を解いていて、もちろん、複雑ですから難しいことも多いですが、ヒントの山であることもあります。
一方で、線があまり引いていない(単純な形)ほど、自分で補助線などを補う必要が出てくるので、難しいこともあります。ですので、一概に「複雑な形=難しい」と言う事にはなりません。
線がたくさんある ≠ 難しい
そもそも図形を目にすることも嫌
苦手意識の究極系です。テスト問題で図形を見た瞬間に「これは無理。捨て問。」というように決めつけてしまいます。後で見返したときに「あっ、解けた。」ということもしばしば。そういうもったいない経験をした事も多々あると思います。
この図形アレルギーを治すには、まず図形問題と向き合う時間が必要です。
図形問題の苦手意識を克服するコツ
図形を知る事
図形を解くに当たって最初に必要なものは「図形に関しての基礎知識」です。
例えば、「平行四辺形とはどんな形?」という問いに対して
① 向かい合う角がそれぞれ等しい
② 向かい合う辺がそれぞれ平行かつ等しい
③ 対角線がそれぞれの真ん中で交わる
という知識がスッと出て来るでしょうか。また、ここをクリアした後は
「平行四辺形とひし形の違いとは?」という問にスッと答えられるでしょうか。
ひし形は隣り合う辺の長さが等しいが、平行四辺形は違う
ひし形の対角線は垂直に交わるが、平行四辺形はそうならない。
まずはこれらの知識が入っているかをチェックしましょう。
それぞれの図形の特徴を覚えよう
「なんとなく」をなくしてみる
図形問題を解くときに「‘なんとなく’正三角形」「正方形っぽい」など、「なんとなく」で図形を見てミスした経験はありませんか?とても優しい先生が図形問題を作っていると、なんとなくで長さや角度が求まる事がありますが、大概の図形問題は長さや角度がかなりおおざっぱに作られています。
図形問題は与えられた情報を活用していけば、形が正しく判断できるようになっています。「なんとなく」の情報は、その問題を解くためには不要な情報で、それを勝手に混ぜてしまうために、混乱してしまうわけです。まずは「なんとなく」をなくして図形を見ていくようにしましょう。
図形は与えられた情報だけで考える
情報をまとめる練習をする
下の図形において、四角形ABCDは正方形、三角形BCEは正三角形です。この時、角DEAは何度になるか。
まず、問題を見たときに注目すべきは図形ではなく問題文です。
と、いうのは図形はなるべく見た目がキレイな状態で与えられますので、細かい情報を盛り込んでいることがありません。それらはどこに書いてあるかというと、「問題文」です。
ですので、筆者が図形指導をする際には「問題文を読みながら図形を見る」練習をさせ、問題文に意識が行くようにしています。そして、問題文にある情報を図形に書き込むよう徹底していきます。
先程の問題について、わかる情報を書いてみたものが下図です。
情報を図形に集約する事が大事
図形にたくさん触れる
上述した内容を踏まえて、それを様々な問題で活用してみることです。活用してみることで、今まで全て違って見えていたものが、少しでも‘似ている’ことに気がつけば最初の一歩としては大成功です。
様々な問題に触れて図形に慣れる
図形問題が解ける
「図形はセンス」とはよく言われ、確かに感覚があった方がいい部分はありますが、それがなかったとしても、カバーする知識、考え方があれば図形問題の苦手意識は改善できます。初めて見る図形でも解ける喜び味わってみませんか?
小学生をメインに学習指導を行っております。どんな問題でも分かりやすく解説できることを売りにしています。算数指導は非常に難しいものです。家庭でもお子様に指導できるように精一杯伝えていくつもりです。