医師になるためには、医師免許を取得する必要があります。日本の医療機関で働くための医師免許は、日本国内の大学を卒業しなければ取得することが出来ないと思っている人は多いのではないでしょうか。
しかし医学部で学ぶ内容というのは、日本でも海外でもそれほど大きく変わることはありません。そのため、海外の医学部を卒業しても日本の医師国家試験を受験することは可能なのです。もう少し詳しく見ていきましょう。
1.海外の医学部に進むメリット
2018年度における国公立大学の医学部の偏差値は地方であっても東京大学の理科一類と変わらないレベルです。私立大学の医学部の偏差値は様々ですが、2018年度における6年間の学費は最も安い大学でさえ1850万円です。
このことから、受験生の中には、「国公立の医学部に入りたいけど自分の偏差値だと難しい。私立の医学部なら入学できそうな偏差値のところはあるけど、経済状況的に無理。」と考える人もいるでしょう。
しかし、海外の医学部の中には、大学にかかる費用が日本よりも安い国があります。なかには、海外での生活費と学費を合わせて2000万円以下という場合もあるのです。日本で私立大学に通うためには、一般的に3000万円前後かかると言われているので、かなりお値打ちに医学部に通うことが出来ることになります。
また、入試に必要な科目数が日本よりも少なく、国によっては入学試験の難易度が日本よりも低いという点もメリットと言えるでしょう。もちろんその国の言葉で授業を受ける必要はありますが、その国の医師免許が取得できるのも魅力です。
2.海外の医学部進学の注意点
海外の医学部に進んだ人が、日本の医師国家試験を取得しようとした場合、医学部を卒業していることが条件となります。日本国内の医学部に進学した場合は、卒業見込みであれば医師国家試験を受験することは可能です。
しかし海外の医学部に進学した場合は、きちんと卒業してからでないと受験資格は得られません。これは医師国家試験を受験する前に、厚生労働省の審査が必要となることが関係しています。審査によって、予備試験・1年以上の実地修練・日本語診察能力検査などが課され、それらをクリアしないと医師国家試験の受験資格は与えられないのです。
海外の医学部に進学し、日本の医師国家試験を受験する場合も同様に、卒業後に厚生労働省の審査を受けないと、日本の医師国家試験の受験資格は与えられませんので注意してください。
日本国内の医学部に進学した場合と異なり、海外の医学部への進学は、卒業後の道にも選択の幅が広がります。もちろん日本に戻って医師となることも出来ますが、そのまま現地に残って海外の医療機関に勤務したり、大学院に進んだりすることも可能です。
また、国際機関に所属する医師として働く人もいます。国によっては、日本人が進学することが難しい医学部もあるので、事前にしっかり調べて挑戦するといいでしょう。
3.東欧の医学部への留学が注目を集めている
一口に海外と言っても、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど様々な地域がありますが、注目を集めているのが、ハンガリー、チェコ、ブルガリア、スロバキアといった東欧の医学部への留学です。
その理由としては、「日本の国公立大学に比べると比較的入学しやすい。」、「学費が安い。」、「物価が安いため生活費があまりかからない。」、「英語で教育を受けられる体制を整えている大学が多い。」、「医学教育のレベルが比較的高い」といった点が挙げられます。
更に、「東欧の医学部を卒業後に日本の医師国家試験に合格すると日本で医師になることができる。」「卒業後にヨーロッパにとどまる場合は、留学した国だけでなくEU圏の各国で医師になることができる。」点も魅力です。
4.留学生の受け入れ態勢
積極的に留学生の受け入れ態勢を整えている国もあります。例えばハンガリーは、ハンガリー医科大学事務局と国立の4大学医学部とが共同して日本からの学生受け入れプログラムを整えており、既に2006年から日本人の留学生を受け入れています。
入学審査では入学時の偏差値よりも医師にふさわしい人間力を重視することを明言しています。このプログラムはハンガリーの医学部への留学を検討している日本人のために、入学説明会を、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の各都市で複数回開催しています。
また、合格後の提出書類準備や現地への渡航準備・住居探し・銀行口座開設といった入学プロセスでのサポート、入学後の教育支援や病院研修の受け入れ先となる病院との調整といった入学後のサポート、日本の医師国家試験受験への対策のサポートなども行ってくれます。
5.厳しい勉強への覚悟が必要
いいことばかりではありません。入学時の偏差値は重視しないというものの、医学部生として必要な学力を身に付けるために入学後はハードな日々が待っています。
ハンガリーの医学部の場合、入学後に6年間でストレートに卒業できるのは半分以下で、退学者の割合も多いです。ただでさえ慣れない海外生活を送る中、相当な覚悟で勉強を続ける必要があります。
6.医師への道は様々
石にかじりついてでも医師になりたいという受験生にとっては、海外に目を向けることで、医師になる道が開ける可能性があります。受験先を検討するときは国内の医学部にとどまらず、東欧を含む海外の医学部も対象に加えてみましょう。
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中学時はほとんど勉強する事無く、高校に進学したが、勉強法の書いてある本を読みあさり短期間での学力UPに成功。その経験を活かし、学生時代から塾で講師業に携わる。その後、大手予備校の校長も兼任しながら、多くの受験生を合格に導いてきた。現在は、講師業(医学部専門予備校など)に加え、Webサイトでより多くの受験生に学力UPのノウハウを伝えている。