子どもが家で塾の算数の宿題をやっていて、分からない問題を質問される。どんな風に教えればいいのだろう。そもそも、どんな解法を知っているのだろう。
塾に通わせてないから、家庭で受験算数を教えないといけないけれど、そもそも受験算数分からない。
こんなときに中学受験塾での算数の教え方や、受験算数の解き方が分からずに不安に思うご家庭は多いと思います。
そこで今回は、家庭で受験算数を教える際に注意すべきこと・各単元ごとの教え方などについてまとめました。
1.受験算数と数学の違い
ご家庭で算数を教える際に第一に意識しなければいけないことが、受験算数と数学は違うということです。
特に中学受験をしていない親が子どもに算数を教える場合、「文章題は方程式を使えば簡単だよ!」と数学の解き方を教えてしまうケースがあります。
しかし本来受験算数の文章題は、線分図や面積図などを用いて具体化・視える化しながら解いていくものです。
その練習をせずに方程式を使って問題を解いていると、何をX・Yで置くかわかりづらい比を使う応用パターンなどが解けなくなってしまう可能性があります。
受験算数と数学の詳しい違い・方程式では解きにくい問題や、正しい算数の解き方に直すための訓練の方法などは、下の記事で詳しく解説しています。
この章を読んでギクッとした方がいれば、是非参考にして、今からでも子どもに正しい算数の力をつけさせてあげてください。
2.中学受験算数の大手塾の違いは?集団塾と個別指導塾の併用はアリ?
まだ子どもを塾に通わせていないが中学受験はさせたい・もしくは子どもに今の塾が合っていないのではないかと考えているご家庭にとって気になるのが、大手の塾のカリキュラムや雰囲気の違いです。
算数の授業で扱う単元・内容から見ると、そこまで塾ごとに大きな差はないと思っています。
たまに、「サピックスは難しい⇒難関校に受かるにはサピックスのテキストが必要」と思っているご家庭もありますが、必ずしもそうとは限りません。
他の塾でも、副教材の中に応用問題を載せているテキストが存在します。
それを踏まえると、サピックスのテキストがずば抜けて難しいというわけではないでしょう。
ただ、算数の内容的には差がなくても、授業のペースや宿題の量などには差があります。
個別指導塾と集団塾の併用については、特に算数や国語については併用したほうが成績が伸びやすい傾向にあると思います。
算数で言えば、集団塾での理解不足な点・式や図の書き方・計算ミスのクセなどを一人一人に合わせて細かく見てくれることが、個別指導を併用するメリットです。
そのため集団塾との併用を考えている場合は、一対ニなどの個別ではなく、一対一の完全個別指導塾に通わせないと効果は薄くなってしまうでしょう。
(一対ニ以上だと演習メインになるため。)
個別指導塾についても下の記事でいくつか紹介しているので、参考にしてください。
中学受験の塾選び!「集団塾」と「個別指導塾」の違いやSAPIXと日能研の違いなど!
ただ、個別指導と集団塾を併用すると莫大な費用がかかってしまうことから、個別指導塾を諦めているご家庭もあると思います。
我々スタディメンターでも、月額4000円から受験算数のノートチェック・添削を行うサービスを開始しましたので、下のページを御一読くださると幸いです。
【check!!】 ノートチェック式オンライン家庭教師とは!?
3.受験算数の正しい家庭学習での教え方とは?
中学受験をするご家庭のほとんどが、子どもの宿題への取り組みなどを親がチェックしていると思います。
せっかく時間を割いているのに成績が上がらない……などとお悩みのお父さん・お母さんも多いはず。
そこで、ここでは算数の家庭学習の効率を上げるためのポイントについてまとめていきます。
塾で習った解法を再現させる
半数以上の子どもは、新しい単元を身につけるときに、塾での解き方と家庭での解き方が違うと混乱してしまいます。
まずは、塾でどう教わったのかをお父さん・お母さんが把握する必要があります。
そのためには、子どもの塾のノートの書き方が重要になってきます。
式だけでなく、解き方の流れが復習しやすいようなノート作りを身につけさせましょう。
解き方を全て教えない
子どもが解けない問題を教える際にやってしまいがちなミスです。
もちろん解説を丁寧に一緒に読めば理解できる子どももいますが、多くの子どもはそうではありません。
答えを求めるプロセスを1段階ずつ質問しながらクリアさせていくことが、本当の実力をつけるための第一歩です。
ノート・解説の式の意味を考えさせる
最も意味のない復習のさせ方が、「何度も同じ問題を解かせて覚えさせる」というものです。
この復習方法では、同じパターンで数字が変わっただけの問題は解けるようになりますが、入試問題などの基本から一ひねりされている問題は解けるようになりません。
「式の形を覚えただけ」にならないようにするために、それぞれの式が何を求める式なのか・どういう手順で答えにたどり着くのかを子どもに考えさせるようにしましょう。
ノートの書き方・テキストの解説の利用法について、下の記事では写真を用いて詳しく説明しています。
家庭学習を少しでも楽にして、成績を上げていくために、参考になればと思います。
塾に行かずに偏差値をアップさせる!中学受験算数を家庭で教えるポイントは?
4.受験算数分野別の基本的な解法・教え方
ここでは受験算数の各分野の塾での教え方や、考え方のポイントをまとめています。
各単元の特徴を理解することで、家庭学習での成績アップに役立ててください。
割合編
5年後期から算数の成績が下がる原因No.1が、割合と比の分野です。
ここから一気に抽象的な内容に入るため、「何を計算しているのかよくわからない」という子どもが続出します。
ポイントとしては
が重要です。
下の記事で、それぞれのポイントを例題を用いながら解説していますので参考にしてください。
【中学受験算数】つまづく五年生が大勢いる!割合の問題の苦手を克服するためには!?
線分図編
一章で、算数は視える化しながら解くものということを説明しましたが、そのためのツールの一つが線分図です。
子どもは線分図を使うべきパターンを感覚的に理解できていることが多いのですが、どんなときに線分図を使えば良いか・線分図の書き順などをしっかりと理解しておくことが重要です。
下の記事では、実際の問題で線分図を書く方法や、線分図を使うべき問題のパターンについて詳しく解説しています。
子どもが線分図を使って解いているときに、「なんで線分図を書いたの?」と聞いてみてください。
「なんとなく」と答えなくなったら、基本から理解できている証拠です。
面積図編
面積図も、線分図と同様に受験算数では重要なツールの一つです。
縦・横にどんな数字を書くか、面積が何を表しているのかなど、つまづくポイントは子どもによってかなり違ってきます。
面積図が苦手な子どもの特徴として一番に挙げられるのは、大まかな形だけ覚えているというものです。
詳しく言うと、面積図が、2つ(もしくは3つ以上)の長方形が合わさってできているものだと理解できていないということです。
なぜ長方形を使うのか、縦・横・面積が何を表すのかをしっかりと理解し、正しい面積図の書き順を身につければ、一気に面積図を扱う問題が解けるようになります。
書き方の手順などは、下の記事で図付きで詳しく説明していますので、参考にしてください。
①つるかめ算編
面積図を用いて解くパターンの1つ目がつるかめ算です。
面積図の使い方としては非常にわかりやすいため、まずはつるかめ算をマスターすることが面積図を使いこなすことの第一歩と言えます。
また、つるかめ算は速さ・売買損益などと合わさって出題されることも多いため、どんな条件が与えられたらつるかめ算なのかを理解しておくことが重要です。
まずは下の記事で、つるかめ算の特徴について子どもと一緒に理解しておくと良いでしょう。
【算数の家庭学習をサポート】受験算数の教え方 第6回 つるかめ算
また、つるかめの基本から理解することで、つるかめ算のように見える問題で引っかけられることもなくなります。
不定方程式やいもづる算、3つのつるかめ算については下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
【算数の家庭学習をサポート】受験算数の教え方 第7回 実はまだあるつるかめ算
②平均算編
平均算については、計算式だけで求められるパターンと、面積図を使うパターンの2つが存在します。
2つのパターンの見分け方は、基本的にはこれ以上計算できるものがない!と思ったら面積図の出番です。
ただし、平均算の面積図は、つるかめ算の面積図よりも少し複雑になります。
3つの長方形を重ねて図にするため、それぞれの長方形が何を意味するのかを理解しなくてはいけません。
慣れないうちは、長方形を一つ一つ分けて書いてからそれを組み合わせることで、応用の効く解き方を身につけることができます。
実際に下の記事では、3つの長方形一つ一つの意味などを説明した上で面積図を作っているので、ぜひ参考にしてください。
【算数の家庭学習をサポート】受験算数の教え方 第8回 平均について
平面図形編
平面図形が苦手な子どもは、線が多くてどの図形を使えばいいか分からない・補助線の引き方が分からないなどと苦手な理由を口にすることが多いです。
しかし、指導する側から見た本当の理由は別にあることがほとんどです。
講師側から見た平面図形が苦手な理由としては、
などが挙げられます。
これらの原因が合わさった結果、はじめに書いた子どもの言う苦手な理由になっています。
上記3つのポイントを一つ一つクリアしていくことで、極端に平面図形の点数が低いという状態から抜け出せるようになるでしょう。
①・②については、下の記事で例題付きで解説しています。
子どもと一緒にチャレンジして、平面図形の基本を振り返ることから始めてみてください。
【中学受験】算数偏差値40~50の小学生必見!図形問題のコツを伝授!~補助線の引き方とは~
計算力編
各分野の解法よりも計算ミスをなくすのが先!というご家庭や、解くスピードが遅くてテストで空欄が多い!というご家庭は、こちらの記事を参考にしてください。
【中学受験】計算力と偏差値は比例する!?算数の計算スピードをアップさせる4つの方法
計算ミスをなくすのは簡単ではありません。
計算ミスを減らすための工夫を、5年生など早い時期から意識しておくことで徐々に正解率がアップしてきます。
また、解くスピードについては、各分野の基本問題の解法をしっかりと理解することで考える時間を減らすことも重要です。
スピードだけでなく、入試問題を見据えて応用問題を攻略していくためにも、単元ごとの基本的な解き方を身につけていきましょう。
【中学受験算数】計算ミスをなくして偏差値アップ!小学生がしがちな計算ミスの原因は?
5.家庭学習に使える!受験算数オススメの問題集
など、市販の問題集を選ぶ基準はご家庭によって様々です。
下の記事では家庭学習で使いやすい市販の問題集を、分野・レベル・解説の詳しさなど様々な視点から評価しています。
問題集選びの一助になればと思いますので、ぜひ参考にしてください。
【中学受験】個別指導の塾講師が選ぶ!算数のおすすめ問題集・参考書8選
6.身の回りにも家庭学習の材料はたくさんある!〜算数嫌いを克服させる方法〜
私は算数の成績を上げるための一番の近道は、算数を好きになることだと思っています。
(6年生になるとそうも言っていられないのですが……)
算数嫌いを克服し、算数を好きにさせるためには、算数を身近なものだと認識することが重要です。
下の記事では、身の回りにある受験算数の問題について、例題付きで解説しています。
記事に載っている問題を子どもと一緒に解いた後、実際の生活の中で少しずつ子どもに計算させる機会を作ることで、算数嫌いを直す手助けになればと思いますので参考にしてください。
【中学受験】日常生活が算数の問題集に!家で算数を教えることが重要です
【中学受験】日常生活が算数の問題集に!楽しんで偏差値を上げる方法とは?(パート2)
【算数の家庭学習をサポート】受験算数の教え方 番外編 プロ野球開幕!野球で学ぶ算数
【算数の家庭学習をサポート】受験算数の教え方 番外編 スポーツと算数
7.算数の出題傾向から見る併願校選び・過去問演習すべき学校
6年生の夏頃からよく質問を受けるのが、併願校についてです。
もちろん、第一志望校以外にも子どもの行きたい学校・通わせたい学校を作っておくことが一番重要ではあります。
しかし滑り止め校などは、問題傾向や確実に合格できるかどうかで選ぶご家庭が多いのも事実です。
そこで下の記事では、算数の問題傾向という視点から、御三家などの最上位校を目指すご家庭に向けて、第一志望校ごとにオススメの併願校を提案しています。
類似傾向の学校も挙げているので、過去問演習にもお役立てください。
(男子校編)算数で考える’勝ちに行く’受験〜必勝併願校パターン〜
(女子校編)算数で考える’勝ちに行く’受験〜必勝併願校パターン〜
(千葉御三家編)算数で考える’勝ちに行く’受験〜必勝併願校パターン〜
8.受験算数の教え方・過去問演習で悩んだら
ここまで受験算数をご家庭で教える際に意識すべきことなどを説明してきました。
しかし、実際にご家庭で算数を教えるとなると、子どもとケンカになってしまう・教えた通りの方法で解かないなど、親のストレスが溜まる一方になってしまうこともしばしばあります。
個別指導塾や家庭教師に頼ることで親の苦労が一気に減ることもあるので、最近家庭内がピリピリしてきたなと思う方は検討をオススメします。
【check!!】メンター制とは!?
また、6年後期から家庭で取り組むことが多い過去問演習のチェックも、プロに頼んだほうが効率よく合格に近づくことができます。
我々スタディメンターでは、中学受験算数の家庭学習の添削やノートチェックを行っております。
過去問演習の添削・弱点の洗い出しなどの分析を行うオプションも開始しましたので、一度ご検討いただければと思います。
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中学時はほとんど勉強する事無く、高校に進学したが、勉強法の書いてある本を読みあさり短期間での学力UPに成功。その経験を活かし、学生時代から塾で講師業に携わる。その後、大手予備校の校長も兼任しながら、多くの受験生を合格に導いてきた。現在は、講師業(医学部専門予備校など)に加え、Webサイトでより多くの受験生に学力UPのノウハウを伝えている。